10/3(土)・4(日)は、ショッカソン2015でもおうちハックナイト!でもなく、


情報学環佐倉研・医科研武藤研の合同ゼミ合宿


でした。


この1年ほどの流れならば、ショッカソンを選ぶべきところなのですが、ERATOプロジェクトに参加して以降、ものづくり、特に電子工作がらみのプロトタイピングにかなり濃密に触れすぎて、少し視野が狭くなっていることを自覚していたこともあり、今回は後ろ髪を引かれる思いがありつつもゼミ合宿を選んだ次第です。




武藤先生は情報学環の兼担でもあり、両研究室に共通するのは科学技術と社会の関係です。


逆に言えば、それだけが「しばり」なので、今回のゼミで発表されたネタを(若干雑めではありますが)わかりやすいカテゴリで時系列に並べてみると、



ファッション・ミュージアム-博物館学

(口蹄疫)被災者のステレオタイプ-社会心理学

イノベーション-科学技術社会論

PM2.5報道と中国のWeibo-メディア論

企業ロゴ-表現工学

学際(Interdiscipline)の歴史-科学史・科学哲学・科学技術社会論

 患者・被験者と倫理-医療倫理学・科学技術社会論

子のコホート研究-医療倫理学

新型出生前診断と親・遺伝カウンセラ-科学技術社会論・医療倫理学

新型出生前診断と行政・医療-医療倫理学・公共政策

 

・・・とまぁ、ざっとこんな感じでしょうか。



それがいわゆるまとまった講演形式ではなく、学生の研究発表という生の形で触れることができ、議論にまで参加できるため、主体的に発言・参加することで私に自分の経験値を高めることに結構繋がるんですよね。


しかも、科学技術からいろんなサービスを生み出して世に出そうとしている私の立場だと、技術的には自分の専門と一見全然関係なさそうなことでも、実は結構どんぴしゃなネタばかりでした。


私の視点でまとめると、



ファッション・ミュージアム-既存の博物館市場へのファッションの新規参入

(口蹄疫)被災者のステレオタイプ-先入観の社会的形成/広報メディア戦略

イノベーション-まんま

PM2.5報道と中国のWeibo-中国の広報メディア戦略

企業ロゴ-デザイン

学際(Interdiscipline)の歴史-Issue-Orientedな開発

 患者・被験者と倫理-IoT/Big Dataと倫理

子のコホート研究-新生児市場と親

新型出生前診断と親・遺伝カウンセラ-新生児市場と親

新型出生前診断と行政・医療-新生児市場と行政・医療現場


 
と読み替えられるわけです。


佐倉先生が、学際についてDonald T. CampbellのFish-Scale Model of Omniscienceを解説して下さいましたが、学問というフィールドを可視化するときのイメージとしては、魚のうろこ(Fish scale)がしっくりきます。


一方、 Campbell自身は昔の人すぎてどんな人物だったのかは想像しかできませが、心理学・社会学のフィールドから人類学・生物学さらには哲学と、人への関心が強かったんだろうと思います。


そういった個人の関心からくる「疑問」や「課題(Issue)」を突き詰めようとすれば、一人で全部やるのではなく、当然ながらいろんな専門の人と触れ合うことが必要になります。


Campbell was a wide, wide collaborator and distrustful of academic knowledge of any field whose knowledge resided in small clusters separated from other fields. To parody this situation, he wrote an article on the "Fish-Scale Model of Omniscience" which called for scholars to stray from their immediate discipline and work to create bridges (or fish scales!) between their disclipine and neighboring ones.

キャンベルは非常に幅広いコラボレーションを行っており、他の分野から孤立した小さなクラスターに留まっているような分野の知識に対しては不信感を抱いていた。この状態をもじって、自分自身の直接の専門から逸脱して、自分の専門と近しい専門を橋渡しする(魚の鱗のように繋ぐ!)機能を果たす研究者を称する"Omniscience(全てを統合する科学)の魚のうろこモデル"という記事を書いた。(Wikipediaより)


と解説されていますが、「自分自身の直接の専門から逸脱」する傾向は、別に「Omniscienceを完全なものにしなければならない」とう科学への使命感などではなく、あくまで個人の嗜好のような形で昔から世界中に存在していたんだろうと思うわけです。


そして、そこに必要なのは、恐らく主体性なんだろうと思います。こういう環境に身を置けば、誰かが自動的に刺激をくれるわけじゃなく、極論すれば「どんな場に身を置いても主体性があれば同じような刺激は得られる」というわけです。


その瞬間にどの環境を選択するかを、私はときどき「布石」と表現します。碁はやりませんが、特に初手の方で打つ布石は、たぶん一か所に固まり過ぎていてはダメで、でも特に根拠があってどこに打つってことはなく、「なーんとなく面白そう」くらいの曖昧な根拠がちょうどいい感じです。


そして、「布石」ですからあくまで「それまでの自分の引き出しになかったところ」が結構大事だと思ってます。







そんなわけで僭越ながら、
逸脱っぷりなら私も中々負けてません。


 
今回の合宿の中で、単に刺激だけでなく、自分のこれからの活動に繋がりそうなヒントをいくつももらえました。

「それは何ですか?」 と聞かれても、我が事として勝手に私の知の体系の中に組み込んでしまっただけなので、上にまとめた以上には他人様に説明できるようなシロモノではないのですが、それがもう少し目に見える形になったら、きっと布石が活かされたってことなんだと思います。







もちろんずーっと議論してたわけじゃなく、合宿には来年から佐倉研・武藤研にくる新しいメンバーが4名も参加してたり、普段のゼミではそんなにたくさん話せない人とたくさん話せたり、佐倉先生はラグビーに熱狂していたりと、大変楽しい時間もありました。



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写真は、地元山梨出身の藤嶋さん曰く、「山梨はそばと一緒に鶏もつを食べる」というB級グルメ鶏もつ。



幹事の藤嶋さん、藤澤さんは、前任者のいない中での合宿企画で大変だったと思いますが、大変ありがとうございました!




そして、きっと来年幹事するであろう川野さん、佐藤さんは宜しくお願いします!?




来年は自分がどうなってるか想像もつきませんが、
参加できたならきっと私が面白いことになってるんでしょう!?