パッと見は「かわいい」ですが、そのパフォーマンスは到底かわいいの言葉で表現するようなものではありませんでした。


【engadget: Watch a tiny, magnetically powered robot construction crew go to work】
http://www.engadget.com/2014/04/17/sri-microbots/




まずは騙されたと思って、2分半ちょっとの動画をご覧くださいませ。




 
なんたる速さ。 

なんたる自在さ。



これを開発したのはSRI International。スタンフォード大の設立したStanford Research Institute(スタンフォード研究所)を前身とする研究機関です。

You see, one of the best ways of propelling and controlling microbots is by using magnets. and it's because there's no need for an on-board power source that we can make 'em so small.

お分かりの通り、マイクロボット(注: 小さなロボット)を動かし、制御する最良の方法の一つは磁石を使うことである。そして、 それはなぜならオンボードの動力源を必要としないので、マイクロボットを小さくできるからだ。


磁石を駆動原理とするロボットやアクチュエータはたくさんあります。しかし、これが一味違うのは、

What SRI's done though, is to create special surfaces for the microbots using printed circuit boards that let you control magnetism at a very local level. In this way, several of the things can get on with completely different tasks in close proximity to one another.

SRIがやったことは、とても小さい領域の地場をコントロールできるようなプリント回路基板を使って、マイクロボット用の特別な表面を作ったことです。この方法によって、複数台の膜ロボットが非常に近接して完全にバラバラな作業ができるようになりました。


実際動画を見ると、いきなり基板上を2つのマイクロボットが独立に動いてますね。

しかも磁石なので、壁を登って行ったりもします。



The thinking is that such technology could be used for creating "micro-factories" that manufacture electronics and the like, but SRI's also interested in seeing what other applications researchers can come up with.

考えることは、こんな技術はエレクトロニクスやそんな感じのものを製造する"マイクロ工場"を創るのに使えるだろうということだけれど、SRIは他の応用研究者たちがどんなことを思いつくかを見ることに関心がある。


つまり、この動画を公開したことで、自分たちの作ったこのマイクロボットとそれを複数独立に動かすプリント回路基板を提供したら、用途を思いついて相談に来るエンドユーザや、SRIのシステムを購入してサービスを提供しようと考える企業の登場を促しているわけです。


ええ、私も思いつきましたとも。



これぞオープン・イノベーション・・・と思ったら、DARPAのOpen Manufacturing Programだったんですね。


140424



早速DARPAのサイトを覗きに行ってみると、

Uncertainties in materials and component manufacturing processes are a primary cause of cost escalation and delay during the development, testing and early production of defense systems.
(中略)
DARPA created the Open Manufacturing program to lower the cost and speed the delivery of high-quality manufactured goods with predictable performance.

材料やコンポーネント製造プロセスの不確実性は、防衛システムのコスト増加や、開発、評価、、初期生産の遅れの主要因である。
(中略)
DARPA(アメリカ国防高等研究計画局)は、コスト低減および予測可能な性能を持つ高品位に生産された商品の出荷の加速のためのOpen Manufacturing Programを創設した。
 

つまり、応用の見つけにくい材料やプロセス技術などの上流シーズに対して、安価に実用化開発加速をするためのプログラムだというわけです。


日本でも最近「オープン・イノベーション」が謳われ始め、富士通がハッカソン(主としてプログラミングを用いてサービスアイディアを短期間で実現するイベント)を開催するなどの動きが出てきていますが、そういうものもまだまだコストが比較的かからず、大規模な設備もいらないITどまり。

最近はサービスが最も儲かるレイヤーになりつつあるので、モノづくりメーカは苦手であってもおいしいところを自分でやろうとついついしがちです。


そんなわけで、製造業/モノづくりのオープン・イノベーションの効果を知るためにも、このマイクロボットの行く末を楽しみにしたいと思いまする。